窓の外に目を向けると近くに役所が見えました。
『何か手がかりになる情報を聞けるかもしれない!』
思い立った私はバーガーショップを後にし
娘と愛犬を連れ役所へ。
「ココ・・・ごめんね。ここでまた少しお利口にしていてね・・・」
ココの頭を撫で、リードを役所の外のフェンスに巻き付けると
娘を左腕に抱き上げ足早に役所の中に入りました。
『何課に行けばいいの・・・?
生活・・・福祉・・・こども・・・』
受付で、
「離婚して住む場所がないので相談したい」と伝えて
呼ばれるまで椅子に腰かけて待ちました。
「こちらへどうぞ」
担当窓口に案内され係の職員が出てくると、大まかに今の状況を話し
「離婚して住む場所が無いんですか・・・とりあえず実家に帰れば?」
実母には迷惑をかけたくなかった私は実家に帰るという選択枠はありませんでした。
「あの、、
シェルターとか・・・娘と母親で行ける所はないでしょうか」
今まで考えたことも無かったシェルターという場所‥‥
すると職員が
「シェルター?
なんでそんなところ行くの?・・・
今まで聞かれたこと無いからなぁ・・・ちょっとお待ちください」
職員が窓口から後方へ行くと、何人かの職員が立ち話・・・
皆、首を横に振ったり手のひらを横に振ったりして
知らない、無いよ・・・と言っている様子を悟る。
この先行く当ても決まっていない、
お金も無い、
何もかも不確定、不明確・・・
話を聞く職員も、どうしていいかわからない回答になるのは仕方ない事。
「全国のシェルターの一覧だけでもコピーして頂けないでしょうか!」
私は必死でした!
せめて今晩娘を寝かしつける時間に
今後のことを考えたい‥
考える材料くらいは持ち帰りたい!
その一心で伝えると
「シェルターは公にしてないから一覧は無いんですよ・・・場所がわかるとシェルターにならないでしょ。入所には条件があるから、当てはまるかご覧ください」
やっと手に入れた情報を握りしめ、
私は深くお辞儀をしてその場を立ち去りました。
『シェルターってどんなところだろう・・・
どんな人たちがいるのだろう・・・
そこから娘は保育所に通えるのだろうか。
私はそこから仕事に行けるのだろうか・・・
周りの目はどんなだろう・・・
犬は一緒に入所出来るのかな・・・
その場所に行ってみないとわからない。
保育所の近くで、仕事を探せるかな・・・
保育所って、入所するのに条件とかあるのかな・・・』
娘を片手で胸に抱き、不安ばかりが頭をよぎる。
それでもなんとか娘の前の母親の私は作り笑顔をして無理をして‥
フェンスに繋いだリードを外すと、ココも飛び上がってしっぽを振って喜ぶ‥‥
不安な心とちぐはぐな表情をしている私はココロが苦しくなる‥‥
「ママ~、ほっぺ冷たい」
今日はこのたった一枚のシェルターのことが書かれた用紙を手に入れておしまい・・・
もう弟のマンションに帰らないと暗くなってしまう。
来た道の目印もわからなくなって帰れなくなってしまう。
もう少し、、色々情報を知りたいけど、、、もう帰らないと・・・