シェルターの相談室に抱えてきた荷物を置き
施設の相談員の後についてシェルターの中を見学させて頂く・・・。
『・・・部屋は母子で一部屋づつ割り振られていて、
銀色の共同洗面所は横に長く、、昔の小学校にあった手洗い場の用な感じ・・・
どうやら水だけ、、、温水は出ないのね・・・』
身体に入れ墨をした母親が1歳児位の赤ん坊を膝に抱きながら、
マスカラを塗って化粧をしているのが見えました。
その女性は所々にあざなのか、怪我が目立ち・・・
私は自分の腕に抱いている娘を強く抱きしめ
娘の目を自分の胸に押しつけ周りが見えないようにしました。
別の部屋からは子供が立ったまま泣いていて、その母親は子供を放置して壁に寄りかかってうずくまっていました。
『あ・・・お見せできるのはここまでとなりますね・・・』
「・・・ありがとうございます。・・・あの・・・施設内では携帯電話は使用できるのですか?」
『はい、出来ますよ。仕事を探したり、外部に連絡をとったり。』
「入所されてる方は、どういったご事情のかたが多いのですか?」
『色々なご事情で入所さえますね・・・。配偶者のDVや虐待から逃れて来たかたもいます・・・』
「・・・・・・」
先ほどの小さな相談室に戻る途中、廊下で別の入所者の母親と目が合いました。
「・・・ふっ・・・」
その女性の身にまとっている
ドロッとした何か・・・
私は急いで目を伏せ、その人から目線を外しました。
少し後ろにその母親と一緒にいた小さな女の子は、
髪の毛がとかされてなく、洋服のボタンも掛け違えたままでした。
小さな女の子と目があってしまい私はなぜだか胸が苦しくなりました。
思わず、手を差し伸べてしまいそうになる自分を”グッと”抑え・・・
何かもの言いたげなその女の子の瞳を見て、
自分と腕に抱いている娘の人生を投影したかのようでした。
『・・・・うっ・・・・』