『可愛い娘を片親にしたくない!』
ただそれだけでした。
この日、娘と愛犬を両脇に抱えてアパートを出た私は、律儀にも夫の借りていたレンタルDVDを延滞にならないよう返却していました。
『こんな時に、何をそこまで・・・私は何をしているんだろう、、馬鹿みたい・・・』
自分がなんだかとてもちっぽけで、惨めな人間に思えて悲しくなって来ました。
馬鹿らしくなって怒りが込み上げ
夫に対して、とてつもない憎しみが湧き上がって来ました。
街はクリスマスや年末の準備をして、イルミネーションや飾り付けも華やいでいて、キラキラ
人々は少し忙しそうで、しかしなんだか楽しそうに街に繰り出していました。
目に映る、私たち以外の全ての人が幸せそうに見えました。
自分と娘がとてつもなく悲しく、惨めで情けなく感じ自暴自棄に陥りました。
心に余裕がなくなり、暗く最悪な気分で歩いていました。
左手の先に繋いだ娘の手。
いつだって笑って私を励ましてくれる娘の小さな手が、私の手を握りしめました。
「ママ〜・・・?」
何かを悟ったように、私の様子を心配して覗き込む娘の清らかな眼差し。
それが痛々しくて、自分が情けなくて・・・
滝のように涙が流れて、顔はぐちゃぐちゃでした。
私の目には、何も景色が見えなくなりました。