外の気温は5度、冷たい雨が降る肌寒い朝・・・
前に求人誌を購入した本屋までの道のりがまだ記憶にあった私は
愛犬のココにマンションのお留守番を頼むと
右手に傘、左腕に娘を片手に抱っこし足早に本屋へ。
吐く息は白く、、娘のかじかんだ手を自分のコートに入れて歩きました。
20分程歩いた頃、やっと本屋へ到着。
「本屋さんの中ではお口チャックでね・・・帰りにおやつ買おうね。」
・・・名付け・・・子の名前・・・離婚・・・裁判・・・法律・・・・・・店内の区分けを見ながら探しました。
『戸籍法107条の2・・・子供の名前を変更する方法・・・名の変更・・・これだ!!』
目次から記載のページを見つけると、
私はまるで見つけた本を丸暗記するかのように頭の中に叩き込みました。
『本屋さん、、ごめんなさい、、、立ち読みさせて下さい』
法律の本は金額も高い上に本の厚みもあり、必要な箇所は数ページのみ・・・
『改名するってことになるのね・・・改名が認められる条件って、、』
”正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない”※「名の変更」 戸籍法第107条の2
『正当な事由ってどんな事由なんだろう・・・裁判所が正当な事由と判断する事由って、、』
”名の変更をしないとその人の社会生活において支障を来す場合”としており”単なる個人的趣味,感情,信仰上の希望等のみでは足りない”(※正当な事由の判断基準)
娘の名前がこのままの名だと、将来娘の社会生活に支障を来すと、、私は思う・・・
娘の父親が強制わいせつで逮捕、その父親が付けた名前(漢字の名前)・・・・・・
それを成長した娘が知ったら、どんな気持ちになるだろう・・・
自分の名前を人に教える時、
自己紹介をする時、、
名前の由来を話す時、、、
自分の名前を誇らしく思えるだろうか・・・
自分の名前を
好きになって欲しいから。
この子は
幸せになるために私から産まれてきたのだから・・・
私の娘・・・私だけの娘として
・・幸せになって欲しい・・・
娘はまだ自分の漢字の名前を知らない。
まだ一度も自分の手で漢字の名前を書いたことがない。
保育所にも入所していないから道具にも名札も貼ったことが無いし・・・
”改名の動機が正当であるか”
”改名の必要性が高いか”
”改名による社会的影響が小さいか”
認められたことがある改名理由と照らし合わせながら文面を目で追っていました。
そして申立人になる娘が15歳未満なので手続きは親権者等の法定代理人、
母である私が手続きをするということまでは理解しました。
『名の変更許可申立の手続きはどこでするのかしら・・・』
読み進めると”住所地の家庭裁判所”と記載がありました。
そして”申立人の戸籍謄本”が必要とも・・・
『やはり住所を決めないと・・・
さらに”名の変更理由を裏付ける資料”も必要、、
目に見えてわかる説明のつくもの・・・具体的なもの・・・
持ってきた荷物の中に該当する具合的なものがあるかしら・・・』
最後に申立の費用と
申し立ての手順を確認すると、そのページを脳裏に焼き付け本を閉じました。
さっきまで降っていた雨は止み
肌を刺すような風がふくなか近くに公園を見つけた私は、
娘を砂場に連れて行き急いでベンチに腰かけ
持ってきたメモ帳に本で見た内容を忘れないうちに書き残しました。
『もう一度、、娘の名前をつけなおしてあげたい!
娘が幸せになるためにも、
娘が誇り高く生きるためにも。
私が親として、
この不幸な出来事を
修正してあげられるなら、、どんなことでもしてあげたい!!』
娘の漢字の名前をつけなおすという目標が出来た私は、
次はそのためにどこに住所をおくのがベストか、
家庭裁判所の所在地、役所、保育所、仕事先など頭の中でパズルを組み立てながら
自分たちが住む環境を考えていました。