ラッシュの時間は人が多く、バッグの中のココが吠えてしまうと犬がいることが分かってしまう・・・
仕方なく時間を調整することにしました。
その間に朝ごはんになるようなものを買い、
まず外にある駅のベンチで娘に食べさせました。
バッグのファスナーの端から、ココの茶色い鼻がクンクンにおいを嗅いでいるのが見え・・・
バッグの外側からそっとココを撫でました。
「ココ・・・公園探すから待ってね。」
駅の広場を見つけ、やっとココを表に出してあげることが出来、水分と食事を与えました。
『ワン!・・・・・・・クウ~ン・・・』
ココは一度ワンと言うと、まるで考えたようにそのあとは吠えません。
こうして私たちと一緒に行き場を探しているうちに、ココは目で言いたいことを察知出来ているかのように感じました。
『トイレも、シートのあるところでしかしない・・・
(排泄物を)出さないよう私に気遣ってくれているのね・・・・』
ラッシュの時間が過ぎ去るまでの数時間、
娘とココが外で走って遊ぶ姿をこの目に焼き付け、
ささやかな幸せを感じられる・・・
10:30を過ぎ人が少なくなってきた所を見計らって
駅で切符を買い、人の乗っていない車両の電車に乗り込むと裁判所のある駅へ・・・
電車の外の景色はのどかな田園風景が広がり、ほんのひとときまるで何事もなく平和な日常の中にいるようでした。
電車が駅に到着すると、私たちは駅のホームにあるベンチに一度腰かけました。
「ココ・・・吠えちゃだめよ・・・お願いね。」
バッグの中のココに静かな声で話し、
「ママに抱っこしていてね」
娘にも・・・
犬の入ったバッグを見つからないように緊張しながら改札口を通過しました。
「ふう~・・・」
駅前の周辺地図から裁判所を見つけると、そこまで歩いて行けそうか駅員に尋ねました。
『おとなの足で15分位かかると思いますよ』
少し遠いと思っても、公共機関はココは乗れないのだから・・・
「仕方ないよね・・・30分位かかるかしら、、」
周辺地図を自分のガラケーのカメラで写し、見ながら歩くことにしました。
駅から少し離れたところでバッグを肩から降ろし、ココを抱き上げ外に出してあげました。
「窮屈だったね・・・おりこうさん」
何時間ぶりに外に出たココの頭を撫でると、リールの長さいっぱいに走りまわるココ。
それを見てはしゃぐ娘・・・
『・・・私のしている事は、これで間違っていないのだろうか・・・』
不安がよぎり、一瞬で自信が無くなってしまう。
「今日がお天気良くて助かったね」
口から出た言葉は、この子達が居てくれるだけで不思議と独り言では無くなる。
返答が無くても、居てくれるだけで・・・
それだけで、ひとりボッチでは無いと思え少しだけ、救われる。
たわいも無いことをこの子達に話しかけながら、裁判所への歩道を歩いて行きました。
言葉を口から発する事・・・
これだけでストレス発散になっていました。
「裁判所・・・裁判所・・・」