夜の湖でシングルマザーとなる決意をした私は一度、荒らされたアパートに戻りました。
アパートの住人と顔を合わせたくなかったので、早朝に戻ることにしました。
ほんの数時間前まで、自分たちが生活していた場所だというのに、中に誰か知らない人がいたらどうしよう、と不安に襲われながらアパートの扉の鍵を開けました。
ガチャッ・・・
『ものすごくいやな空間・・・もうここは、娘の居るべき場所ではない』
旅行バックに娘の衣類や下着をまとめ、いつも遊んでいたおままごと道具を入れ、娘と愛犬を両脇に抱え、アパートを後にしました。
ここから、自分の中でもう二度と足を運ばない場所へ出向き、一か所づつ心のリストにチェックマークをつけていきました。
まず、夫の実家のポストに、実母に離婚のいきさつを書いた手紙と実母の忘れていった気管支炎の薬を入れると、もう二度とここに来ることは無いと確信しました。
これまで幾度となく離婚について考えていたのに・・・
でも、踏み切れなかった・・・
なぜ、こんな状況になってからでないと離婚出来なかったのか・・・
それは他の何物でもない、『娘を父なし子にするわけにはいかない、私が我慢すれば、いつか夫は気づいて変わってくれるかもしれない』
そんな淡い期待を抱き、悔しくても、辛くても、ずっとずっと思いとどまり我慢してきてしまったのです。
あれほど夫に不信感を募らせていたにもかかわらず・・・
『もっと早く、あの時・・・別れていたら・・・』
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