【その日は突然に1-2】
しばらくの間、刑事達はお互いの目を見合わせると
ひとりの刑事が私にこう言いました。
「強制わいせつだよ」
ニヤリと周りにいた刑事が苦笑しているのが見えました。
私は毛布にくるんだ娘を抱きかかえたままその場に立ち尽くし
この上なく恥ずかしくなりミジメな気持ちになりました、、
「‥ほ、本当ですか?‥」
「そう。これから取り調べだ。‥奥さん、アンタも好きもんなんだろ?あははは!」
刑事達はまるで楽しんでいるかのように証拠品を探しながら、合間に私をさげすんでいるように感じました。
私は気が遠のいて血の気がひけていくようでした。
身体はこわばり頭の中は真っ白‥‥
その場に立ち尽くしました。
『私は好きもんなんかじゃない!!』
憤りを感じ、
言葉には出来ない怒りと、恥ずかしさが私の身体を覆いました。
「夜中に道で女性を倒して、逃げたんだよ。その時、女性の衣服を持って逃げたらしい。それを探している」
『探していると言ったのになぜ、私に洗濯機の中の私の下着を持たせて写真を撮ったの?なぜわたしが、‥なぜ私が、あなたがたに笑われなければならないの?私は何もしていないのに!』
そう、頭の中で叫びながら‥‥
それと同時に、この後自分達がどうなるのか、
娘の人生がどうなるのか、
目の前に見えている現実を眼球に映しながら、頭で葛藤し
そしてもの凄いスピードでシュミレーションを始めました。
『もう恥ずかしくて、娘とこのアパートには居られない!どうしよう‥どこに行けば‥』
この時既に私たちが住んでいたアパートの電気やガスは止められていました。
夫の事業で必要だった携帯電話だけは繋がっていましたが、部屋は寒く、娘のおむつや食事さえも買い置きが無い状態で暮らしていました。
「電気もガスも止められて、奥さん‥苦労かけられてるねぇ?子供も可愛いのに、、なぁ」
刑事の言っているとおり、お金が無いことで生活はひどい状態でした。