私は夫が自殺に選びそうな場所を夜中じゅう探し回り、
くたくたになって朝を迎えることがしばしばありました。
自宅近くの墓地、
自分の借りてる事務所ビルの屋上、
大きな川の橋の下‥‥
お金が足りなくなると、いつも
「死ぬ」
と騒がれました。
何度もこんなことを繰り返しているうちに、「死なない」くせに
「死ぬ」と言って心配させたいだけなんだと、気づいてしまい、
追いかけて探すことも嫌になっている自分がいました。
乳飲み子を抱っこしながら夜中に歩き回る。
しかも、薄暗く変質者がいそうな場所ばかり‥
探している間はずっと食事も、トイレも無い、寒い外‥
『どうせまた、いつもの演技のくせに‥』
夫に対し、信用を失っていた私は
「死ぬ」と言って飛び出して行った夫を、
追いかけることにも嫌気がさしていました。
そんな冷めた私を見て義母は
「追いかけないの?それでも夫婦かい?これで息子が死んだら、
あんたは人殺しだよ!!」
と、言い放ちました。
義母まで私を追い込んできました。
なんてひどい言い方。
私に罪悪感まで持たせて‥
しかも、「死ぬ」と言うワードを使う
『なんてズルいんだろう‥‥』
夫は現実的に生活できないことを受け入れられず、自分だけは会社の社長を気取り振る舞っていて、それが私にはとても滑稽に見えてしまいました。
私と娘は、その日食べる物も無い状態が続いているのに。
自営で収入が途絶えても私が外部に働きに行く事も出来ないでこの場にいるのに‥
アパートの光熱費は、郵送された振込用紙が何月分も払えないまま溜まり、滞納で度々ガスや電気が止まる生活。
引き落としがかからないから、振込用紙が届いているのに、
目につく場所に置いていても見なかったフリをしている夫‥‥
電気が止まった時は娘が怖く無いよう、キャンドルをともして凌いでいました。
こんな家の事情をよそ様に話されたく無い夫は、私に会う人間までをもいちいち制限してくるようになっていました。
家計は火の車、
自営の会社は自転車操業の状態‥
ライフラインの途切れたアパートに、私と娘を閉じ込めて‥
そんな状態で自分ではお金をキャッシングする枠のない夫は
自分のクレジットカードではなく、私の旧姓の(結婚前の)ゴールドカードを勝手に使って、ペットを購入してきたのです。
「もう買ってきたんだから、今さら返せないよ。生き物なんだし」
とても高額な血統書付きの愛犬でした。
愛犬はとても品の良い顔立ちで、とても愛らしく、
振り返ると娘と直ぐに意気投合してじゃれあっていました。
「ママ〜!ワンワンかわいいね!」
『私が犬が好きなのを知っていて、こんな事を‥』
直ぐに頭のなかで愛犬の維持費を考え落胆しました。
『こんな経済状況なのに‥考えもしないで‥』
愛犬の可愛いさとはうらはらに、
今後の愛犬にかかる経済的負担を考えると
気分が滅入り、夫の幼稚な考え方にさらに失望しました。
そして「ペットを飼う」ということは、
今まで以上に家から外出に制限がかかるという暗示でもありました。
娘が1歳になる前の出来事でした。
私のクレジットカードが、
間違いなく私の知らない所で黙って夫達に使われている!と確信したきっかけでした。
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