東北地方11月の早朝6時過ぎ

静けさの中

自宅のベルが、けたたましく鳴りました。

「誰だろう、、こんな時間に、、この人達は何者?」

ドアの覗き穴から外の様子を確認しながら私は思いました。

「もしかしたら!?もしかしたらここから逃げ出せるかもしれない!!」

結婚してからどんどん化けの皮が剥がれた夫に私は既に愛情が冷え切っていました。

ただ娘を父親のいない子にしたくないだけで繋ぎとめていた紙切れ一枚の結婚生活でした。

夫は早朝に帰宅してひとりベッドで寝ていました。

「ご主人はご在宅ですか?」

チェーンをつけたままドアを開けると数人の見知らぬ男性の姿‥‥

 大柄で強面な6人の男達は刑事でした。

アパートの扉を開けると、手に段ボールを持った刑事達が部屋の中にどんどん流れ込んできました。

なにがなんだか意味もわからないまま

とにかく私は「娘を守らなければ!」と思い、

娘の寝ている部屋へ足早に向かいました。

すやすや寝ている娘をベッドから抱き上げると、

小さな身体ごと毛布でくるみ体温を逃さないように抱え上げ

娘の耳をふさぎ刑事の質問に対応しました。

『こんな映像を娘の脳裏に焼き付けてはならない!』

娘を起こさないようにしたい私をかまわず、

大きな声で色々質問してきました。

真面目に対応する私に対して刑事達は

なぜだか馬鹿にした口調で

時にののしりあざけ笑っているような素振りをみせました。

『なんで、わたしが?』

なぜ何もしていない私が、ひどい言葉を言われているのか初めは理解出来ませんでした、、

しかも刑事に‥

部屋の中は捜査の為勝手にいじられ、

物は倒されたらそのまま、ゴチャゴチな状態になりました。

「クルマの確認だな」

2人の刑事が駐車場に出て行き

夫の車のボンネットに手を置くと

「まだエンジンがあたたかいな‥よし!」

すぐさまアパートに戻ると間もなく

夫は寝ていたままの姿で警察のパトカーの中に連れて行かれました。

夫が何をしたのか全くわからないまま私は刑事の指示に従いました。

「じゃあ奥さん、洗濯機の中の汚れた下着を両手で広げこの段ボールのボードに書いてある文字が見えるように胸の前に掲げて下さい。」

段ボールのボードには黒いペンで大きく

「洗濯機の中」と書いてありました。

リビングの収納をバンバン開けられ、

今度は「リビングの収納」と書いてある

ボードを持たされ中のビデオなどを映しながら私にボードを預け写真を撮られました。

寝室のクローゼットも開けられ

私の知らない場所から30センチ角の段ボールを取り出し、また私に「寝室クローゼット」と書かれたボードを持たせては写真を撮られました。

「あの‥夫は、、何をしたのですか?」

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投稿者

あゆむみらい

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